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大島幸久の『何でも観てみよう。劇場へ!』

○○で子どもの成長を見守ります。大島幸久の『何でも観てみよう。劇場へ!』

 演劇が、芝居が、今、面白い。劇場という劇場が大盛況。舞台を見れば、今という時代が映って見える。おすすめのイチ押し、穴場、ひろい物−。さあ、劇場へ!。

INFORMATION

〜「忠臣蔵」連続3か月〜NEW!

 開場50周年を迎えた国立劇場が、その記念事業となる公演ラインアップを発表した。対象となるのは9月の文楽公演から来年3月までの自主公演。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた文化プログラムでもある。

 注目の歌舞伎公演だが、『仮名手本忠臣蔵』の通し狂言として10月から12月までの連続3か月、3部に分けての上演となる。

 10月の第1部が大序から四段目までで大星由良之助が松本幸四郎、塩治判官が中村梅玉。二段目・桃井館、三段目・裏門など珍しい場面も上演される。

 11月の第2部は道行旅路の花聟から七段目・祇園一力茶屋の場までで早野勘平が尾上菊五郎、大星由良之助が中村吉右衛門。

 そして第3部の12月は八段目・道行旅路の嫁入りから十一段目・花水橋引揚げの場までで加古川本蔵が松本幸四郎、大星由良之助が中村梅玉。

 全段上演は昭和61年(1986)の20周年記念公演以来。各部とも休憩を含んで約5時間の上演となる。

 来年1月の初春歌舞伎公演は通し狂言『しらぬい譚(仮題)』を尾上菊五郎らの配役で上演するが、3月は未定。また国立劇場は平成33〜36年(2021〜2024)に改修工事が行われることになっている。
 
 (平成28年5月24日)

〜小学生よ!歌舞伎を楽しもう〜

 文化庁が主催する「小学生のための歌舞伎体験教室」(製作・一般社団法人伝統歌舞伎保存会)が今夏も開催される。

 小学生に歌舞伎の楽しさを知ってもらうための事業で、A・鑑賞教室+舞台機構の体験 B・ワークショップ C・体験教室の3コースから選択できる。

 指導監修が中村梅玉。主任講師は市川團蔵、中村雀右衛門、中村時蔵、中村又五郎。このほか歌舞伎俳優、歌舞伎音楽演奏家らが指導に当たります。

 Aは7月9日に国立劇場大劇場で、Bは8月2日に江戸東京博物館ホールで、Cは7月3日から8月9日までの期間、国立劇場などで行われます。

 そのための参加者を募集中です(募集締切り5月16日午前10時まで)。詳細と問い合わせは伝統歌舞伎保存会事務局(電話03・5212・1243)へ。
 
 (平成28年5月1日)

〜花總まりが演劇大賞〜

 2015年度の第41回「菊田一夫演劇賞」の授賞式が4月18日に行われた。

 演劇大賞を受けたのは「エリザベート」でエリザベートを演じた花總まり。2003年度の第29回で演劇賞を受賞しているが、今回の大賞の受賞は格別な思いがあったようだ。

 「宝塚歌劇を退団してからしばらく舞台を辞めた私がこんな大変な賞をいただきました。演じる事の、舞台の素晴らしさを舞台を通して希望や夢や、生きる力が舞台にはある。『あなたは絶対やらなきゃダメよ』と言ってくれた事務所には感謝しています。20年前、初めて演じたエリザベートはかけがいのない役。今、もう一度、この役で再チャレンジできました。これからは迷う事なくこの道を歩んで参ります」と、ようやく実感できた気持ちを話していた。

 演劇賞には梅沢昌代、駒田一、ソニン、演出の小川絵梨子、そして特別賞には訳詞の竜真知子が選ばれた。

 賞には縁がないと思っていたというソニンは演劇で賞を受けるのは初めて。「世の中、マイノリティのある人に私を通じてこんな事があるんだ≠ニ思ってもらえる」と話した時、涙を流していたのが印象的だった。
 
 (平成28年4月19日)

〜読売演劇大賞の仁左衛門〜

 第23回読売演劇大賞の贈賞式の模様を紹介しましょう。

 まず、大賞と最優秀男優賞が片岡仁左衛門。最優秀作品賞が「グッドバイ」、最優秀女優賞が小池栄子、最優秀演出家賞が鵜山仁、最優秀スタッフ賞が乗峯雅實。

 さらに、杉村春子賞が高畑充希、芸術栄誉賞が奈良岡朋子、選考委員特別賞は宮本宣子だった。

 歌舞伎俳優が大賞を受けたのは初めての仁左衛門は父・十三世仁左衛門の23回忌に当たる年に第23回で受賞した事を喜び、菅丞相の役を改めて映像で見た父親にまだまだ及ばない事を語った。

 奈良岡のスピーチが印象に残る。劇団民芸に入った当時、同期生だった故大滝秀治と二人が決めたのは、辞めずに俳優を続ける誓いをしたといい、「才能もない私がもし才能が一つあるとすればここまで続けてきたこと、続ければ何かいい事があります」と会場全員に訴えた。
     
 小池栄子は優秀演出家賞の一人に入ったラサール石井の方に目を向け、「グラビアなどに出ていた私を舞台の世界に入れてくれて、最初に出してくれたのがラサール石井さんでした。感謝しています」と微笑んだ。
 
 蜷川幸雄・演出の「青い種子は太陽のなかにある」の演技も受賞対象になった高畑充希。「蜷川さんは怖いし、でもポイント、ポイントで愛のある言葉をかけてくれました。賞を受けるのは初めてなので、飛び上がって喜びました』と初々しいスピーチだった。
 
 (平成28年4月1日)

〜松尾芸能賞の平幹二朗〜NEW!

 平成28年度の第37回松尾芸能賞の贈呈式が3月29日に行われた。まず、各賞は−。

 ◇大賞(演劇)    平幹二朗

 ◇優秀賞(邦楽)   宮田まゆみ

      (‖)    六代目杵屋勝四郎

     (演劇)   一路真輝

 ◇新人賞(演劇)   二代目尾上松也

 ◇特別賞(舞台美術) 鳥居派九代目鳥居清光

 ◇功労賞(能楽)   冨山禮子

 ◇研修助成賞(大衆芸能) お笑い浅草21世紀

 受賞挨拶で平幹二朗(82)は「人生の持ち時間が少ないが、背中をポンと押し出していただいて、台詞が覚えられる限り続けたい」と笑顔で話した。先輩俳優には軽やかさと艶やかさが必要だと教わったという。

 一路は「(宝塚を)退団して20年、芸能生活35周年の節目でいただき、又、頑張ろうという気持ちになりました」と語り、連れてきた一人娘さんと喜んでいた。

 松也は20歳の時に父を亡くし、24歳の時に自主公演「挑む」を始めた思い出とともに「本当に大変光栄。賞に恥じないよう精進を続けます」と、さらなる飛躍を目指していた。

 主催する松尾芸能振興財団は、昭和63年に開塾した松尾塾子供歌舞伎の公演を昨年8月に閉塾したが、今後は何か新しいものを考えているという。期待しよう。

 (平成28年4月1日)

〜石原慎太郎氏の辞世の句〜

 作家・石原慎太郎氏(83)の辞世の句が一中節になった。「灯台よ 汝(な)が告げる言葉は何ぞ 我が情熱は誤りていしや」。これがその句。

 一中節の十二世家元・都一中が作曲した「私の海」という新作を石原氏が作詞。その中に先の句に二度含まれている。

 この句が冒頭から始まり、「海に生き 海に死なむとする我を」と続き、「おお海よ 海 虚無と無限に通う 我が心のふるさとよ」で終わる約20分間の新作だ。

 「私にとっては全く未知の世界の一中節に未知の領域を開きたいという家元のお申し出を受けました。

 海は私の人生にとって不可欠の光背です。

 私にとって海ほど美しく危うく未知なるものを追いかけて帆を開く試みをしなくては芸術として成り立ちはしません。。

 家元の試みに私も芸術家の一人として共感し、つたない御手伝いをさせて頂きましたがこの新しい航海が無事彼岸にたどりつくことを願っています。」

 これが発表会に向けて書かれた挨拶文だが発表会では「演奏を聴いていて思い出すのは、よく喧嘩した三島由紀夫さん。(詞章が)古典の中の古典である一中節になり、彼が生きていたら、私を羨んでくれたのでは−という自負がある」と挨拶。

 江戸期の元禄時代に始まったという一中節。これまで近松門左衛門、芥川龍之介、谷崎潤一郎らの文学者が作詞をしている。「拙文が一中節になったのは誇らしい」と石原氏は演奏に聴き入っていた。

 (平成28年2月1日)

〜亀井広忠が家元に〜

 亀井広忠が能楽囃子方の葛野流十五世家元を一月吉日に継承した。

 広忠は亀井忠雄の長男。挨拶状には「未だ若輩の身ではございますが累代の先人方の御遺徳を穢さぬ様、尚一層精進を重ねて参る所存」と書かれていた。1974年生まれの41歳。太鼓方として実力には定評がある。

 (平成28年2月1日)

〜明治座で“富士山”を楽しもう〜

 年明け早々の来年1月2日(午後1時半・開演)、東京は浜町の明治座で“富士山”を見ることが出来ます。

 「FUJIYAMA」と題したエンターテインメント公演がそれです。世界遺産である日本美の象徴、富士山をテーマに多彩な分野の伝統芸能が集合。お正月気分を富士山と共に楽しめます。

 1幕の第1部が剣舞「喜昇富士」。富士をイメージした真剣による舞を披露。2部「吉兆手打式」は 地元の葭町芸者らが繰り広げる珍しい踊りです。3部は柳家花緑の落語「初天神」。古典落語の名作を花緑師匠が面白く演出します。

 2幕の第1部が日本舞踊「八合目」。藤間勘十郎、若柳吉蔵、市川ぼたん、尾上菊之丞らによる新作。富士山がテーマの奇想天外な狂言舞踊の意欲作です。

 そして2部が日本舞踊と殺陣による新作エンターテインメント「日本武尊剣勇功(やまとたけるつるぎのいさおし)」。富士山を背景に主人公ヤマトタケルの伝説を日本舞踊で描きます。

 一、富士、二、鷹、三、なすび。劇場ロビーでは伝統的なお正月遊びも体験でき、浜町でお正月の初夢を見てはどうでしょう。

 ちなみに私が監修を担当しています。

 (平成27年11月26日)

〜「ライオンキング」1万回〜

 劇団四季のミュージカル「ライオンキング」が7月15日、通算上演1万回を達成した。

 1998年の初演以来16年目。四季劇場・春という同一の劇場での連続ロングランという日本では画期的で珍しい記録だ。

 この日の時点で国内ミュージカルの上演回数ランキングのベスト5は@ライオンキングAキャッツBオペラ座の怪人C美女と野獣Dレ・ミゼラブル。

 子供に一度は見せたいミュージカルは「ライオンキング」

 オトナが一度は見るべきミュージカルは「ラ・マンチャの男」と「オペラ座の怪人」

 一度はカラオケで歌いたい曲は「キャッツ」の「メモリー」。


 (平成27年7月29日)

〜宝塚歌劇団が菊田一夫演劇大賞〜

 第40回「菊田一夫演劇賞」が発表された。

 ◆演劇大賞

 宝塚歌劇団(宝塚歌劇100周年の一連の舞台の成果に対して)

 ◆演劇賞

 森公美子(「シスター・アクト〜天使にラブレターを〜」のデロリス・ヴァン・カルティエの役の演技に対して)

 佐々木蔵之介(「ロンドン版ショーシャンクの空に」のアンディ・デュフレーンの演技に対して)

 M田めぐみ(「カルメン」のカルメン、「メンフィス」のフェリシア・ファレルの役の演技に対して)

 ケラリーノ・サンドロヴィッチ(「パン屋文六の思案〜続・岸田國士一幕劇コレクション〜」、「三人姉妹」の演出の成果に対して)

 ◆演劇賞特別賞

 渡辺美佐子(今年度の「黄昏にロマンス−ロディオンとリダの場合−」のリダの役を含む、永年の舞台の功績に対して)

 【注】特別賞の渡辺美佐子は「私は俳優座養成所を出て、小さな劇場でコツコツとやってきたのに栄えある賞を頂き感謝しております。これからも自分らしい舞台をコツコツと作って参りたいと思っています」と挨拶。森は「屋根の上のヴァイオリン弾き」に出た時、森繁久弥から楽屋に呼ばれ、「お前の日が来る、と言われて命名された名前が雷電ため子=Bえ、え〜!でした」と笑わせた。

 (平成27年4月24日)

〜歌昇君、おめでとう〜

 歌舞伎俳優の花形として急成長の中村歌昇が3月30日、萩岡信乃さんとホテルオークラ東京で結婚式と披露宴を行った。

 まず、披露宴の会食メニューから紹介しましょう。
 
 @ウェディングパーティーの幕開けにフォア・グラの温かいムース・ポルトワインの香り
 
 A海の幸のマリネをトマトのジュレにのせてカラフルなサラダとともに

 B冷静コンソメとヴィシソワーズスープ“パリソワール”

 C真鯛のソテーにオマール海老とアスパラガスを飾って蛤の旨みをソースに
 
 D純白のシャンパーニュブラニテ せとか(佐賀県産の種類)オレンジシャーベット

 E特撰黒毛和牛フィレ肉 蓮の葉の塩釜焼き 春野菜を添えて酸味の香るソースとともに

 Fお楽しみのデザート 苺とフロマージュブランのムースほんのり桜の香り ヴァニラアイスクリームとともに

 Gコーヒーと一口菓子
 
 葛西聖司さんの司会による宴会の最後で二人はマイクを向けられた。「辛抱強い所が気に入りました」と新婦の信乃さん。「思いやり、気配り。私にない所が好き」と新郎の歌昇。3年待ったという歌昇はプロポーズの言葉について「ボクは普通に、結婚して下さいと言いました」。信乃さんはこれに対して「頑張りますと答えました」。会場はここで大爆笑。おおらか二人だった。

 新郎の父、又五郎がお礼の挨拶。何度となく「ありがとうございました」と頭を下げていたのが印象的だった。

 (平成27年4月2日)

〜七之助が新人賞受賞〜

 第36回「松尾芸能賞」が決まり、3月27日に贈呈式が行われた。

 受賞者は大賞が歌謡の五木ひろし。

 優秀賞は舞踊が出雲蓉、邦楽が奥村旭翠、テレビが室井滋、演劇が井上芳雄。

 新人賞は演劇の中村七之助。

 特別賞が映画の戸田奈津子。

 功労賞が演芸の根岸京子。

 研修助成賞が民謡の日本民謡プロ協会だった。

 近年で歌舞伎俳優の新人賞は市川段治郎(現月乃助)、片岡愛之助、市川春猿、中村勘九郎が受賞しており、七之助は兄弟受賞となった。

 (平成27年4月2日)

〜延郎らに日本俳優協会賞〜

 第20回日本俳優賞が決定し、、2月18日、歌舞伎座で上演中の昼の部「彦山権現誓助剱・毛谷村」の終演後の幕間に舞台上で表彰式が行われた。

 受賞者は日本俳優協会賞が寶川延郎、同奨励賞の中村橋吾、同功労賞の坂東羽之助、そして尾上菊十郎に20回目の区切りという記念を込めて同特別賞が贈られた。

 舞台上には日本俳優協会の専務理事で俳優賞の担当の中村吉右衛門と安孫子正松竹副社長が列席し、浅原事務局長が司会。

 他劇場に出演中の羽之助を除き、3人の受賞者が列席。一人一人、吉右衛門から賞金が渡された。会場の笑いを誘ったのが菊十郎。この人は第1回に協会賞を受けており、受賞の説明を聞いて立った後、再度椅子に座ってしまい、促されて賞金を受け取った姿がいかにも剽軽な俳優らしい風情だった。

 吉右衛門、安孫子副社長が、今後とも歌舞伎を愛し、見守っていただけるようにという挨拶があり、観客席から盛んな拍手。そして一本締めの手拍子で盛り上がっていた。

 (平成27年3月2日)

〜この十年の主役の動向と傾向〜

 月刊誌「悲劇喜劇」(早川書房)12月号で「主役の動向と傾向」が掲載されています。演劇の世界に於ける特集「この十年」の中に執筆したものです。現代劇、ミュージカル、商業演劇、歌舞伎の四分野に整理してみました。過去十年間で演劇を支えてきた俳優が分かると思います。ご一読下さい。

 (平成26年11月20日)

〜劇団四季の「アラジン」〜

 劇団四季の新作ミュージカルが9月29日に発表された。東京・汐留の四季劇場「海」で上演される注目のその作品は「アラジン」。初日が来年5月24日(日)からの超ロングラン。出演陣の主な9役を中心にオーディションで選ぶ。四季のディズニーミュージカル第5弾だ。

 舞台は砂漠に囲まれた都アグラバー。その下町で暮らす貧しい青年アラジンが主人公だ。母親を亡くしたばかりの彼は市場で一人の女性と出会う。彼女はアグラバー王国の王女ジャスミンだった。

 一方で邪悪な大臣ジャファーは3つの願いが叶うという魔法のランプを手に入れようとする。アラジンは魔法のランプの精ジーニーによって王子に変身。ジャファーらと闘う。

 主なポイントは3つ。

 @音楽は主題歌「ホール・ニュー・ワールド」など7曲。そして新たな楽曲が追加される。

 Aオーディションで選ぶ出演者は全キャラクターを座内を含んで選出される。特にアラジン、ジャスミンの主役2人は20歳代のフレッシュで強いボイスを持った人になる。

 B制作費は「ライオンキング」級の高いコスト。年単位の超ロングランを計画している。

 待ちに待った新作によって四季の新たな活性化となるか。20周年という四季とディズニーの提携は今後の試金石でもある。

 (平成26年10月21日)

〜森山未来のアトム〜

 1年間の文化交流を終えた俳優・森山未来の帰国後第1弾の舞台が発表された。

 来年1月9日〜2月1日、東京・渋谷シアターコクーンで上演される「プルートゥ(PLUTO)で、森山が演じるのは鉄腕アトム。

 限りなく人間に近い存在であるロボットのアトムは高性能刑事のロボットのゲジヒトとともに次々とロボットが破壊される事件の謎を追っていく物語。

 ベルギー、イスラエルで文化交流使として活動してきた森山は「1年を通じて変化してきたであろう自分自身を見つめる良い機会になればと考えています」。演出はオリヴィエ賞を2回受けているシディ・ラルビ・シェルカウイ。永作博美、柄本明、吉見一豊、松重豊、寺脇博文らが共演する。

 (平成26年10月21日)

〜菊之助の結婚披露宴メニュー〜

 5月27日にホテルオークラ東京で開かれた尾上菊之助・瓔子夫妻の結婚披露宴。笑顔満面の二人を祝いながらいただいたお料理の旨かったこと。で、メニューを紹介しよう。

 @祝宴の初めに一口前菜・パテ・ド・カンパーニュのテリーヌ・バンコットソース添え

 A鹿児島黒豚とリードボーのフィロー包み焼きに旬彩を添えて

 B伝統のコンソメスープに旬のジュンサイを浮かせて

 C新鮮平目の白ワイン蒸しに香味野菜を添えて・ソース・ポーム・ダムール

 D特撰黒毛和牛のフォワグラ詰めパイ包み焼きヴェリントン<gリュフの香るソースと共に

 Eお楽しみデザート・心からの祝福と共に・薫り高き野苺とフロマージュブランのムースに赤い果実のアイスクリーム
 Fコーヒーと一口菓子

 お尻丸出しで女装した左團次、フラダンスを3日間稽古したという亀蔵らのパフォーマンス。菊五郎劇団恒例の型破り興行とともに、おいしゅうございました。

 (平成26年6月23日)

〜尾上松緑が松尾芸能賞優秀賞〜

 第35回「松尾芸能賞」が発表された。

 ◆大賞

 (演劇)波乃久里子

 ◆優秀賞

 (演劇)尾上松緑

 (邦楽)中川善雄

 (演劇)渋谷天外

 (舞踊歌謡)相原ひろ子

 ◆新人賞

 (歌謡)福田こうへい

 ◆特別賞

 (音楽)ペギー葉山

 (舞台音楽)竹本朝輝

 ◆功労賞

 (演劇)中村小山三

 【注】功労賞の中村小山三は大正9年(1920)生まれの93歳。歌舞伎界最長老の女形脇役。優秀賞の尾上松緑は花形世代の中心俳優。3月28日の贈呈式で「私は賞には縁も興味もなかったのに頂けた。ただ毎日、舞台を見て頂くのが仕事。明日に向かっていくだけです]と挨拶をしていた。

 (平成26年4月4日)

〜宮沢りえが菊田一夫演劇賞〜

 第39回「菊田一夫演劇賞」が発表された。

 ◆演劇大賞

 「レ・ミゼラブル」スタッフ・出演者一同

 ◆演劇賞

 宮沢りえ(「MIWA」のMIWAの役の演技に対して)

 中村勘九郎(「さらば八月の大地」の張凌風、「真田十勇士」の猿飛佐助の役の演技に対して)

 田代万里生(「トゥモロー・モーニング」のジョン、「スクルージ」のハリーと若き日のスクルージの役の演技に対して)

 栗山民也(「木の上の軍隊」「マイ・ロマンティック・ヒストリー」「それからのブンとフン」の演出の成果に対して)

 ◆演劇賞特別賞

 草笛光子(永年の舞台の功績に対して)

 【注】特別賞の草笛光子は昭和8年(1933)生まれの80歳。同55年には演劇賞を受けていた。演劇賞の宮沢りえのMIWAの役は舞台女優としてワンランク駆け上がった出来だった。大女優への道を突き進んでいる。

 (平成26年4月4日)

〜藤間掬穂が師籍50周年〜

 紫派藤間流の舞踊家、藤間掬穂が「師籍五十周年藤間掬穂舞踊会」を3月29日に東京・国立劇場大劇場で開催する。

 25年前から始めた同劇場での舞踊会は7回目だが、指導者として腕を奮ってきた掬穂にとって50周年の記念の今回、菊穂は「積恋雪関扉」を歌舞伎俳優の市川右近が関兵衛、自身は墨染で披露する。

 また、流祖だった故藤間紫の孫である藤間爽子と掬穂の弟子・胡掬が「鶴亀」を踊り、第1部の「京鹿子娘道成寺」の前の幕間には2歳の孫、咲希が花道から他の子供たちと共に初お目見えとして出演させる。

 (平成26年2月27日)

〜「MIWA」が「悲劇喜劇」賞〜

 第1回『ハヤカワ「悲劇喜劇」賞』が決まり、野田秀樹・作・演出「MIWA」の受賞が発表された。

 この賞は「選考委員(4人)と批評・評論家の劇評意欲を最も奮い立たせる優秀な演劇作品を顕彰するもの」だという。野田地図・第18回公演だったが、美輪明宏をモチーフとした新作。宮沢りえが“MIWA”を主演し、彼女にとっては舞台女優としてこれまで以上に成長した演技が当方には衝撃的だった。

 演劇界では久しぶりに新設された演劇賞なのだが、賛否両論が大きく割れたであろう作品への受賞が面白く思えた。

 (平成26年2月27日)

〜御曹司のベビーブーム〜

 歌舞伎の世界はこの近年、“ミニ・ベビーブーム”のようです。勘九郎には第二子が誕生し、海老蔵にも長男が生まれ、菊之助も第一子の男の子を設けましたのはご承知の通り。亀三郎にも男児が誕生していて、御曹司には揃って後継ぎが次々と出来ました。

 そして、日本舞踊の宗家藤間流の当主、勘十郎にもめでたく男児誕生のホットニュースが。昨年12月28日に3400グラムの赤ちゃん。出産予定日は1月2日だつたそうですが、平成25年末のおめでたでした。名前は雄大(ゆうた)ちゃん。

 松緑にはすでに長男大河ちゃんがおり、海老蔵、菊之助と合わせて“平成の三之助”と言われた三人に男子が揃ったことになります。また、日本舞踊でもこれで家元藤間流(勘右衛門・松緑)と宗家藤間流に跡継ぎが揃った訳でこれら子供たちが将来の歌舞伎を背負う戦後第四世代ということになります。

 勘十郎は7日に行われた宗家藤間流の新年会で誕生を報告。「祖父の名前の一字を入れたいと思っていて、また、人のために何か出来るように、という思いを込めた」と話していました。

 (平成26年1月15日)

〜「名優の食卓」〜
 月刊誌『演劇界』の2014年1月号(12月5日発売)から「名優の食卓」の連載を始めました。

 第1回は九代目市川團十郎です。明治期から昭和期に於ける歌舞伎の名優の好物、また、食卓を囲んだ風景を通して、その意外な素顔や芸の取り組みの一端でも描ければと思っています。

 第2回は六代目尾上菊五郎です。ぜひお読み下さい。

 (平成25年12月26日)

〜シゲさんの生誕100年〜

 「森繁久彌さんの生誕100年をお祝いする会」が20日に東京会館で開かれた。

 2009年11月10日に96歳で亡くなったシゲさんは1913年(大正2年)5月4日、大阪枚方市で生まれたので今年がちょうど生誕100年。俳優や発起人は27人。関口宏と中村メイコが司会を務め、思い出を語った壇上には加藤登紀子、樹木希林、黒柳徹子、司葉子、中村玉緒、夏樹陽子、大村崑、西郷輝彦、里見浩太朗らが並んだ。

 その業績は限りがないので、舞台の思い出としては「屋根の上のヴァイオリン弾き」のテヴィエを始め、「佐渡島他吉の生涯」、「弧愁の岸」が代表作だろう。

 まだ杏子夫人が存命の頃、取材へ行った自宅の庭を回り、美味しい紅茶を振る舞ってくれた事、会社の社員寮まで車で出掛けたそのドライブ中、アイスボックスに収めた氷、ウイスキーを当方が差し出すと、満面の笑顔で「こいつは面白い」と大喜びだった事、愛用のヨットに取材陣を詰め込み、東京湾を回りながらご機嫌で解説しまくっていた事−などを思い出す。

 発起人の思い出話は主に芸達者だった事、世話好きだった事だった。そんな中、黒柳が「ねえ、一度やろうよ」と迫られ、丁重に断ったが、その後に再開すると、また「ねえ、一度やろうよ」と誘われたというエピソードを話した。

 「私はまんざらでもなかったのですが、あのお年でできたのかしら。後で分かったんですが私だけではなかったのね。あの方の好みは色々で、つまり女性なら誰でも良かった、そんな話をしたかったんだと思います」と笑わせた。いいねえ、シゲさん。「ねえ、一度やろうよ」、この文句、使えるねえ。

 来年1月17日からは高島屋大阪店で遺品5万点の中から選ばれた品物が展示される「森繁久彌展」が開かれる。

 (平成25年11月25日)

〜山崎屋のヤル気〜

 月刊誌『演劇界』10月号のスペシャルインタビュー「芸をつなぐ〜守・破・離」で四代目河原崎権十郎さんへの聞き手を担当しました。

 坂東正之助の青年時代、名跡・河原崎権十郎を襲名した裏話、そして今後演じたい役として例えば「勧進帳」の富樫を挙げるなど大いに語り尽くしています。

 明るい芸風の山崎屋のヤル気をぜひお読み下さい。

 (平成25年9月8日)

〜中村歌江に特別賞〜

 平成25年度の第19回「日本俳優協会賞」が決定した。

 日本俳優協会賞は中村勘之丞と中村蝶十郎の二人。

 日本俳優協会賞奨励賞は新派の井上恭太と中村梅秋の二人。

 日本俳優協会賞功労賞は坂東玉之助。

 日本俳優協会賞特別賞は中村歌江。

 坂田藤十郎が現会長の日本俳優協会では大名題や御曹司を除く歌舞伎俳優の脇役、新派俳優の中から表彰してきた。今回は歌舞伎座が新開場した機会に合わせて特別賞を設けたもの。10月に授賞式を行う予定だ。

 (平成25年7月23日)

〜豪華に歌舞伎座特別舞踊会〜

 新開場した歌舞伎座で9月27日(午後1時開演)に「歌舞伎座特別舞踏会」が開かれる。

 歌舞伎の公演以外では最初になる日本舞踊の公演だ。

 上演されるのは@藤間勘十郎、藤間勘右衛門による義太夫・囃子「寿式三番叟」A井上八千代の地唄「八島」B尾上墨雪の囃子「猩々」C花柳壽輔、坂東三津五郎による清元「峠の万歳」。

 先代の歌舞伎座では大流派の舞踊会や落語なども上演されていたが、古典芸能の素晴らしさを世界に向けて発信していく文化拠点としての役割を継続していくそのスタートだろう。

 宗家藤間流、家元藤間流率いる若きリーダー二人の競演、京舞の井上流の家元、六代目菊五郎の流れを受ける尾上流の宗家、そして花柳流の家元と坂東流の家元の競演、豪華で格調高い舞踏会になるだろう。

 (平成25年7月23日)

〜中村魁春インタビュー〜

 月刊誌「演劇界」7月号のスペシャルインタビュー「守・破・離〜芸をつなぐ」で二代目中村魁春さんへの聞き手を担当しました。

 父・六世歌右衛門の教え、兄・梅玉との絆や苦労、女形の心得、初舞台の思い出などたっぷりと秘話を加賀屋は明かしています。是非お読み下さい。

 (平成25年6月11日)

〜女優やめちゃえ!と言わないで〜

 2012年度の第38回「菊田一夫演劇賞」が発表され、5月22日、授賞式が開かれた。

 演劇大賞が「ええから加減」で共演した藤山直美と高畑敦子がダブル受賞。

 演劇賞は安蘭けい、加藤健一、坂本真綾、舞台美術の松井るみ。

 永年の功績に対して特別賞が浜木綿子、黒柳徹子。

 名古屋公演中の加藤が映像でスピーチ、風邪による高熱のため欠席した浜はメッセージの代読だった。

 直美と高畑はともに見栄えがする和服姿で挨拶した。

 初めての東宝公演、作品、共演者という「いいご縁を頂きました」と切り出した直美は「心を引き締めて、お客様に喜んでいただく事を目の前に置きまして、次ぎの舞台をやっていきます」

 高畑は「きょうこそは落ち着かなければ、と思っています」と話し始めた。「私は直美さんの軽い追っかけで、初めてナマの直美さんにお目にかかったのはトイレでした。(今回の共演は)ただただ無心で、声が枯れました。卓球で言えば動物のような直美さんの球(演技)を無心で拾っていました」

 安蘭はこうだ。「サンセット大通り」と「アリス・イン・ワンダーランド」に対しての受賞で「二つの作品は私にとってとても勉強になりましたが、過酷な稽古でした。舞台人として、女優として精進していきます」と結んだ。

 黒柳はかつて菊田一夫氏の演出を2作品で受けたという。「菊田先生は『そんな芝居なら女優をやめちゃえ』と叱るのを知っていましたから『先生、女優なんてやめちゃえ!とおっしゃらないで。私、本当にやめちゃうので』とお願いしたら『分かった、分かった』と言っておっしゃらなかったので、こうして続けています」と笑わせていた。

 (平成25年5月31日)

〜二都物語・俳優の語録〜

 15日に行われたミュージカル「二都物語」の制作発表。俳優の語録を並べる。

 井上芳雄・シドニー・カートン(酒びたりの弁護士)
 「自分の人生をかけてやりたい。共演の浦井とはともにA型。でも内面は全て違う」

 浦井健治・チャールズ・ダーニー(フランスの亡命貴族)
 「友情、家族愛、恋愛、人間愛、色んな愛の形を表現したい。ボケと」

 すみれ・ルーシー・マネット(美しく心優しい女性)
 「緊張している(だけ)。作りものと思いたくない。人生の経験を考えて、入れるというか、何と言うの? つながり? 考えています」

 濱田めぐみ・マダム・ドファルジュ(酒場のおかみ)
 「激しい役どころ。フランス革命を生きた女性。全精力を使って表現したい」

 橋本さとし・ドファルジュ(酒場経営。貴族を恨む)
 「若い二人はイケメン。ミュージカル界を代表するフケメンの橋本です」

 鵜山仁(翻訳・演出)
 「レ・ミゼラブルには負けられない」

 公演は7月18日〜8月26日・帝劇。

 (平成25年5月20日)

〜市川團蔵のインタビュー〜

 月刊誌『演劇界』6月号のスペシャルインタビュー「守・破・離〜芸をつなぐ」で九代目市川團蔵さんへの聞き手を担当しました。

 師匠の二世松緑、伯父・八重之助、そして初代辰之助(三世松緑)の各氏から学んだ秘話を三河屋は明かしています。また、同誌では大特集「歌舞伎座開場!」も掲載しています。是非お読み下さい。

 (平成25年5月7日)

〜ベストワン2012〜

 日本劇団協議会の機関紙「join」がアンケート特集「私が選ぶベストワン2012」で昨年上演された舞台で各部門別のベストワンを選出しています。私も選者75名の一人として選出しました。

 作品・「負傷者16人-SIXTEEN WOUNDED」

 女優・大竹しのぶ「シンベリン」

 男優・津嘉山正種「国境のある家」

 演出家・栗山民也「藪原検校」

 スタッフ・二村周作「ガラスの動物園」

 団体・こまつ座「井上ひさし生誕77フェスティバル2012」の上演

 戯曲・「パーマ屋スミレ」

 ノンジャンル・ピーター・ブルック「魔笛」

 以上が私のベストワンです。

 (平成25年4月22日)

〜ある演劇人とのお別れ〜

 喫煙を競い合った演劇プロデューサーの木山潔さんが1月20日に亡くなり、お別れの会が3月27日、俳優座劇場で開かれた。

 作り続けた作品170本超。「赤い鳥の居る風景」や「やってきたゴドー」らの別役実作品。「桜の園」、「わが町」、「出番を待ちながら」といった翻訳劇。また「はだしのゲン」というミュージカルは海外にも渡った。「赤い鳥の居る風景」、「やってきたゴドー」は自ら演出した。

 弔辞というか、思い出を語った別役実、福田善之、小田島雄志の各氏、そして多くの参加者。新劇界のほとんどか集まったような顔ぶれを見ると、彼の人柄、仕事の幅、ネットワークの広さが偲ばれた。

 酒席では資金集めの苦労、笑いばかりを狙う演劇への意見、劇団という名の集団の存在意義などをさり気なく、煙草の煙に巻くように囁いていたっけ。

 発起人の一人である美術家・石井みつるさんの自宅に咲いた桜の木を舞台上に置いて、桜の枝を献花したお別れの会。好きだった桜、煙草、親しい仲間、新劇の力、演劇の力いまだ衰えず。木山さん、いいお別れ会だったねえ。

 力を注いだ「はだしのゲン」が8月23日〜25日に俳優座劇場で、8月30・31日に川崎市アートセンター・アルテリオ小劇場で上演され、9月3日〜10月2日には巡業公演。ぜひ見てほしい。

 (平成25年4月2日)

〜笠原の「大菩薩峠」〜

 第34回松尾芸能賞の授賞式が3月27日に開かれました。まずは受賞者の紹介。

 大賞は花柳流宗家家元の花柳壽輔。

 優秀賞が演劇で市川猿之助、笠原章、コロッケ。邦楽で十七弦箏奏者の菊地悌子。演出が謝珠栄。新人賞が文楽太夫の豊竹咲甫大夫、邦楽の新内剛士。特別賞が子供歌舞伎指導の北野勝彦。功労賞が演劇の歌舞伎小道具の湯川弘明。研修助成賞がレビュー集団のスタスでした。

 この中で、新国劇の出身であり劇団解散後に当時の中堅メンバーだった18人と結成した劇団・若獅子を率いる笠原章の興奮したような挨拶が良かった。

 笠原は「国定忠治」や「宮本武蔵」などを上演し、昨年には「白野弁十郎」、「無法松の一生」という新国劇の極み付きを公演していた。「4年後には劇団結成30周年、また新国劇100年になります」。その時、いよいよ大作「大菩薩峠」を上演したいという抱負を語った。師事した恩師辰巳柳太郎の代表作だ。お楽しみがまた増えた。

 (平成25年4月2日)

〜安藤サクラの芸術選奨〜

 平成24年度・第63回「芸術選奨」が発表され、贈呈式が3月18日に行われました。

 演技部門の推薦委員の一人として出席しました。受賞者を演劇中心に列挙するとー。

 文部科学大臣賞は「4」の劇作が対象の劇作家・川村毅、能「定家」他の成果で能楽師・観世清和、舞踊部門では「座敷舞道成寺」他の演技で日本舞踊家・吉村輝章、芸術振興部門で「キジムナーフェスタ・2012」他の成果によって演劇プロデューサーの下山久の各氏が授賞となった。新人賞は演劇部門が「ダディ・ロング・レッグス」他の成果の井上芳雄が受けた。

 川村(53)は鶴屋南北戯曲賞も授賞し、15日に開かれた贈呈式に続く晴れの舞台。その南北賞での挨拶が喜びに満ちていたが、芸術選奨は初めてお国から受けたご褒美だった。

 「賞をもらうコツは何か?と皆に聞かれるんですが、どうしてなんでしょうね」。祝賀会ではそう話していたが、むしろ南北賞での挨拶を紹介しようー。

 「岸田戯曲賞を貰ったのが26歳の時。新宿のゴールデン街で唐十郎さんらに祝ってもらっていたら、土方巽さんの病状が悪くなって唐さんらは病院へすぐ向かってしまった。その時、唐さんは『川村、これからお前は賞をどんどん貰うぞ』と言ってくれた。そんなものかなあと思っていたが、30代40代はまるで縁がなく、今回がそれ以来の受賞です」と笑わせた。そして南北賞について「今回は自信がある、と待っていたら連絡がなかった。その年は唐さんが受賞と聞き、唐さんなら仕方ないと思ったものです」と加えていた。

 ところで、芸術選奨の映画部門で新人賞を受けた安藤サクラ(「愛と誠」他の演技)の挨拶に好意が持てた。

 「幼い頃から映画を作ることがいかに大変で困難かを間近で見てきましたが、映画という大きなカテゴリーの中で受けられたのかなと感じています。全力で映画と向き合ってきた父と姉、それを支え続けた母。私もこれから一杯、自分にあるもの、ないものも映画に捧げていきたい」

 映画部門で大臣賞の夏八木勲、大衆芸能部門で大臣賞の谷村新司らも当方が思う以上に嬉しそうで喜んでいた。ご褒美はいいもんです。

 (平成25年4月1日)

〜井上ひさしさん、喜寿〜

 3月5日に開かれた「井上ひさし生誕フェスティバル2012謝恩会」を少しだけ報告しましょう。

 井上ひさしさんが亡くなったのが2010年4月9日。1934年生まれの井上さんが「生きていたら喜寿」を祝って開催されたのが1月の「十一匹のネコ」から始まり12月の「組曲虐殺」まで8作品を上演したフェスティバルでした。

 井上作品が改めて再評価され、観客動員も大成功。謝恩会はその感謝の気持ちを表したものでした。案内状には「美味しいものを食べていただきながら」という一文が入っていて、会場が帝国ホテル。

 一文と会場の結び付きがようやく理解できたのが愛娘の井上麻矢・こまつ座代表の最後の挨拶でした。

 「私事ですが、私が小さい頃、入ってきた原稿料の全てを使ってここに連れて来てくれました。『美味しいものを食べよう』と連れて来てくれました。中に入っている店、お寿司とか。また、父が原稿を書いた場所で、ここは父が愛した場所でした」。謝恩会は、冒頭に関係者数人の短い挨拶だけで始まり、後はいきなり食事タイム。本当に美味しいものを食べる集まりでした。

 麻矢代表はまた「思い切った事をしましたが、来年、こまつ座は30周年。その長さの思いをひしひしと感じています。そして小沢昭一さん、大塚道子さんが亡くなり、あの世はさぞや賑やかだと思います。父は、芝居は一人では作れないとよく言っていました」。井上作品の上演を続ける決意に会場は拍手で応えていました。

 (平成25年3月15日)

〜ミュージカル・ベスト10〜

 雑誌『ミュージカル』の3・4月号が「2012年ミュージカル・ベストテン」の特集をしています。当方も選出者の一人として選考結果を書きました。
 
 ちなみに選ばれた主な部門の作品第1位が「ダディ・ロング・レッグス」、男優第1位が井上芳雄、女優が濱田めぐみ、演出家賞が原田涼。選出メンバーが何を選んだかの一覧も載っています。ミュージカルファンなら興味深いと思います。

 (平成25年3月11日)

〜2012年演劇界の収穫〜

 月刊誌『悲劇喜劇』3月号の特集「2012年演劇界の収穫」で「勘三郎、演出力、女優力に拍手」を書いています。@惜しまれて急逝した勘三郎の舞台A蜷川幸雄、栗山民也、鵜山仁という“ビッグスリー”の演出力B俳優の中の女優力として総括しました。同誌では多数の評論家らに「収穫」のアンケートも掲載しています。ぜひ、お読み下さい。

 (平成25年2月10日)

〜「アニー」は泣けるミュージカル〜

 泣ける芝居に限りはないが、ミュージカルとなるとたった3作品というのが独断的結論なんですなあ。

 一つは「ラ・マンチャの男」、二つ目が「レ・ミゼラブル」、三つ目が「アニー」。今回も間違いなく涙がこぼれる、と思う「アニー」が東京・青山劇場で4月20日に開幕し、8月には大阪、鳥取、名古屋で上演される予定だ。

 1月31日、制作発表に行ってきましたよ。日本初演が1986年4月。以来28年目。いやはや、よくぞ続いたもので〜す。毎回見ていて、泣く。年齢のおかげて涙腺が脆くなった? いや、初演から泣いてましたな。その時は、いきなりやって来るんです。

 いつか両親が迎えに来てくれるんだ、と信じる孤児院の子供たちが歌う場面。いとおしく、可愛いく、かわいそうで…もう、ウルウルですよ。

 日本初演の制作発表にも、実は出席しているんですよ(いや〜、古〜)。ある記者が「今時、孤児院のストーリーなんて、日本人は理解できると思います?」なんてバカな質問をしたもので(私ではありませんよ!
)。ところがどうです。28年も続くロングラン。しかも毎回のオーディションには1万人近い子供が応募する人気ミュージカルに成長したんです。

 歴代の役柄ベスト1は、ウオーバックスは上條恒彦、ハニガン先生は夏木マリ、グレースは岩崎良美、ルースターは本間憲一というのが独断と偏見の持論。過去、宝塚歌劇出身者は11人が出演しているし、アニー役からはオトナの女優に育った子供も多い。

 ことしも、また、ウルウルと泣きに行きましょう。

 (平成25年2月6日)

〜四季の大勝負、リトルマーメイド〜

 4月7日に四季劇場・夏(東京・大井町)でロングラン公演を開幕させる新作ミュージカル「リトルマーメイド」が正式発表になった。

 劇団四季の久しぶりの大型ミュージカルの海外新作だ。

 特長を絞る。

@ディズニーミュージカルの第4弾である。
Aフルオートメーションの最新フライング技術が見られる。
B主役の配役がダブルキャストである。特に女優二人は韓国出身、中国出身であること。

 @は「美女と野獣」、「ライオンキング」、「アイーダ」に続くディズニーとの提携。前3作で得た協力関係とノウハウがフルに生かされるだろう。

 Aは一番興味が湧く。

 地上世界に憧れる人魚姫アリエルが人間の美しい王子エリックに恋をする−というシンプルな物語の縦軸だが、歌うのは大半がそのフライング中だという。

 主人公アリエルを始め、海の中に生きる魚などの生き物が実際に泳いでいるように見える秘訣がこのフライングになるらしい。

 B主役だが、人魚姫アリエルが韓国出身の谷原志音と中国出身の秋夢子。谷原は「ライオンキング」でヒロインのナラを演じ、秋は「アイーダ」と「エビータ」でタイトルロール。王子エリックは大阪出身の竹内一樹と、島根県出身の上川一哉。竹内は「赤毛のアン」でギルバート・プライス、上川は「春のめざめ」のメルヒオール、「ユタと不思議な仲間たち」のユタを演じており、この4人とも実力主義で選ばれたという。

 創立60周年記念公演の大作の発表だったが御大の浅利慶太氏は出席しなかった。後続に全て任せたそうだが、これは極めて珍しい事態だった。

 さて、主題はアリエルの成長物語と言えよう。

 海中から地上へ、成長から独立、そして夢の実現。少女から娘へ。来日したヨーロッパ版演出補のクリスチャン・ダーハムさんは「アリエルと父トリトンの関係、特に娘を手放す決断のタイミングに注目してほしい」と話していた。女性の成長物語。ここにキーワードがある。

 (平成25年1月31)

〜さぶちゃん、喜寿への挑戦〜

 さぶちゃんが昨年7月に初めて進出した明治座の今年の公演が発表になった。3月・明治座、6月・大阪・新歌舞伎座、11月・博多座での三大都市上演になった。

 作品は芝居が「伊那の勘太郎・信州ひとり旅」、ショーが「北島三郎、魂(こころ)の唄を…」。演歌界の大御所・北島三郎による“さぶちゃん時代劇”と“さぶちゃん演歌”の舞台になる。

 新宿コマ劇場が消えて以降、男性演歌歌手には一気に冬の時代を迎えている。大劇場で芝居とショーの二本立て公演を続けて打てるのは、もはや北島御大一人と言っていい。わずかに氷川きよしが頑張っている位だ。

 いくら芸能活動を続けても毎年のように舞台に立てるほど現在の商業演劇は甘くない。北島本人の魅力は当然だが継続こそ力なり−と座長公演を打てるのは並大抵でない。企画力、ファミリー力、そして何より一回一回のステージを全身全霊で打ち込む精神力。ここが他の人と違う。さぶちゃんの偉さである。

 さて、今回の舞台−

 「新しい年を迎えてありがとうという気持ち。また舞台に立てる誇りと嬉しさを感じています。私も10月で77歳を迎えます。この年でも舞台に立てるのかとお客さまに感謝です。大衆の歌といいますか大衆劇といいますか日本の演歌を歌い、皆さんと触れ合えればいいなと思ってます」

 この挨拶の後の質問に答えたのが、さぶちゃん節。

 「この頃、時代劇は今ひとつ、パッとしないと思います。分かりやすく楽しんでもらえれば−という中、一つだけ今もこれからも大事だと思うものを入れている。それは親子の情愛、絆といいますかナ」。喜寿を迎える今年のさぶちゃん。。「皆さんに心配かけるようになった時は、ボクは引退します。でも、まだ動けるかな」。挑戦、これを何度も強調していた。

(平成25年1月31日)

〜極私的歌舞伎大賞〜

 月刊誌「演劇界」2月号の特集「2012年歌舞伎総ざらい!」の中で「極私的歌舞伎大賞」を書いています。独断として勘九郎、中車をダブル大賞としました。ぜひともお読み下さい。

(平成25年1月10日)

〜市川雷蔵の歌舞伎と映画〜

 月刊誌「演劇界」12月号の巻頭大特集「歌舞伎と映画」で「銀幕を飾った俳優・市川雷蔵」を書いています。歌舞伎俳優としての初舞台や襲名、その間の苦悩などと映画俳優として歌舞伎との関係も紹介しました。ぜひお読み下さい。

(平成24年11月12日)

〜新派のラインナップ〜

 10月の三越劇場で「新派名作撰」に参加している新派は「滝の白糸」と「麥秋」の2本立てを11月3日〜18日に京都・南座で、11月20日〜25日に福岡・博多座で上演。来年1月は三越劇場で新派125年記念「新春新派公演」として「口上」と、木下恵介生誕100年として「お嬢さん乾杯」を上演する。また、2月には新橋演舞場で劇団松竹新喜劇の俳優らとの合同で「二月喜劇名作公演」を。6月(3日〜23日)には三越劇場で宮本研・作「新釈・金色夜叉」を水谷八重子、波乃久里子、英太郎、風間杜夫らで上演する予定。
(平成24年10月12日)

〜澤瀉屋四人同時襲名の劇評〜

 月刊誌『演劇界』9月号に新橋演舞場七月公演「七月大歌舞伎」の劇評を書いております。二代目猿翁、四代目猿之助、九代目中車襲名、四代目團子初舞台公演です。6月公演と同じく澤瀉屋一門の結束、熱気、猿翁の復帰、猿之助の「黒塚」の素晴らしい出来、中車の鉄太郎の気迫、團子の将来性ー。とにかく中車に労いの言葉を送りたいものです。

〜上半期の収穫〜

 月刊誌『悲劇喜劇』9月号に「今年度上半期の収穫」特集で私も演劇界の収穫と思う公演について総括してみました。歌舞伎界の澤瀉屋一門の襲名、野田秀樹の「THE BEE」そして井上ひさし生誕77フェスティバル2012連続公演をベスト3としました。『演劇界』ともどもお読み下されば幸いです。

〜香川照之さん親子にインタビュー〜

 月刊誌『演劇界』7月号の企画で9代目市川中車、4代目市川團子のお二人にインタビューしました。巻頭大特集の「澤瀉屋四人同時襲名」の中で香川照之さん、子息政明さんの親子インタビューです。

 お二人の話を通して痛感したのは中車さんの燃える決意、父・猿翁さんまで流れてきた歌舞伎界の血流を絶やしてはいけないという思い、子息との想像を超える絆、その團子君の規格外れの人柄・才能の素晴らしさだった。詳細はぜひ、同誌をお読みください。

 〜今から夏休みの観劇計画を〜

 何事も準備・計画が大事。今から夏休みの観劇をしたい人に8月・東京周辺の演劇公演の予定を紹介したい。

A)ミュージカル

★帝国劇場「ラ・マンチャの男」。8月3日〜8月25日。演出・主演・松本幸四郎。出演・松たか子、上條恒彦、松本紀保。
★東京宝塚劇場・月組「ロミオとジュリエット」。8月10日〜9月9日。出演・龍真咲、明日海りお、愛希れいか。
★青山劇場「ミス・サイゴン」。8月22日〜9月9日。出演・市村正親、笹本玲奈、知念里奈。
★シアタークリエ「ソングス・フォー・ア・ニュー・ワールド」。8月1日〜8月7日。演出・田尾下哲。出演・浦井健治、濱田めぐみ。
★東急シアターオーブ「ウエスト・サイド・ストーリー」。7月18日〜8月5日。来日ミュージカル。
★CBGKシブゲキ「Bitter・days, Sweet・nights」。8月7日〜8月11日。作・演出・G2。出演・橋本さとし、新妻聖子、堀内敬子。

B)ストレート・プレイ

★明治座「大江戸緋鳥808」。8月4日〜8月27日。原作・石ノ森章太郎。演出・岡村俊一。出演・大地真央。
★三越劇場「明日の幸福」。8月8日〜8月19日。原作・中野實。演出・石井ふく子。出演・若尾文子、西郷輝彦、水谷八重子。
★シアターコクーン「ふくすけ」。8月1日〜9月2日。作・演出・松尾スズキ。出演・古田新太、大竹しのぶ、阿部サダヲ。
★赤坂ACTシアター「十三人の刺客」。8月3日〜8月18日。脚本・鈴木哲也。演出・マキノノゾミ。出演・高橋克典、坂口憲二、釈由美子。
★さいたま芸術劇場「トロイラスとクレシダ」。8月17日〜9月2日。作・W・シェイクスピア。演出・蜷川幸雄。出演・山本裕典、月川悠貴。
★ル・テアトル銀座「ウサニ」。8月3日〜26日。原作・脚本・野島伸司。演出・永山耕三。出演・溝端淳平、高岡早紀、山本耕史。
★銀河劇場「銀河英雄伝説」。8月3日〜8月12日。原作・田中芳樹。演出・宇治川まさなり。出演・中川晃教、横尾渉。
★サンシャイン劇場「サイケデリック・ペイン」。8月22日〜9月11日。演出・いのうえひでのり。出演・福士誠治、北乃きい、綾野剛。

B)小劇場

★青山円形劇場「叔母との旅」。8月2日〜8月15日。原作・グレアム・グリーン。演出・松村武。出演・段田安則、浅野和之、高橋克実。
★ザ・スズナリ「くじけまみれ」。8月3日〜8月12日。脚本・福島充則。演出・木野花。出演・高田聖子、丸山厚人、政岡泰志。
★ザ・スズナリ「シュペリオール・ドーナツ」。8月25日〜9月10日。作・トレーシー・レッツ。演出・大杉祐。出演・加藤健一、有馬自由、田根楽子。

D)伝統芸能

★新橋演舞場・花形歌舞伎・『桜姫東文章・伊達の十役』。8月4日〜8月23日。出演・市川海老蔵。
★国立小劇場・稚魚の会・歌舞伎会合同公演・『絵本太功記・身替座禅ほか』。8月23日〜8月26日。出演・市川猿琉、市川左字郎。
★パルコ劇場・文楽「其礼成心中」。作・演出・三谷幸喜。出演・竹本千歳太夫、豊竹呂勢太夫。

(注)期待したいお勧めのトップクラスは@「ラ・マンチャの男」A「叔母との旅」B「其礼成心中」。二番手が@「ソングス・フォー・ア・ニュー・ワールド」A「ウエスト・サイド・ストーリー」B「トロイラスとクレシダ」。俳優では浅野和之、堀内敬子、市川猿琉。ついでに初めての文楽演出の三谷幸喜。

歌舞伎クイズ(第17問の答えは近日発表


Q(第17問 初級)落入り(おちいり)とは何の事か? NEW!
                               …………平成26年11月20日出題

A (a)道行のこと
  (b)奈落に入ること
  (c)千秋楽のこと
  (d)死に際の演技



Q(第16問 初級)「暫」で鎌倉権五郎が見せる豪快な見栄は? NEW!
                                …………平成26年6月30日出題

A (a)絵面の見得
  (b)天神見得
  (c)不動の見得
  (d)元禄見得



【第16問の答え (d)元禄見得】
 「暫」で現行の役名・鎌倉権五郎景政が、鶴ケ岡八幡宮の社頭で見せる豪快な元禄見得。「勧進帳」でも見られます。左手で七尺の大太刀を握り、拳の右手を振り上げます。浅草寺にある九代目團十郎の銅像がそれです。



Q(第15問 上級)「明舟町!」という掛け声がかかった役者は誰?
                                …………平成26年4月4日出題

A (a)七代目松本幸四郎
  (b)十五代目市村羽左衛門
  (c)初代中村吉右衛門
  (d)五代目中村歌右衛門


【第15問の答え (b)十五代目市村羽左衛門】
 十五代目市村羽左衛門は関東大震災の後、今の芝・虎ノ門辺りに住んでいました。天下の美男役者羽左衛門に「十五代目!」という声も掛かったようです。五代目中村歌右衛門には「千駄ヶ谷!」と掛かったと言います。



Q(第14問 中級)「切られお富」の主人公お富が受けた傷は幾つ?
                                …………平成26年1月31日出題

A (a)七十五針
  (b)五十八箇所
  (c)八十八針
  (d)三十四箇所


【第14問の答え (a)七十五針】
 「額をかけて七十五針、惣身の疵に色恋も、薩捶峠の崖っぷち」という名台詞を言うお富。本名題は「處女翫浮名横櫛」で「与話情浮名横櫛」の書き替え狂言。三十四箇所は「与話情」の主人公与三郎の刀傷。五十八は3月にお富を初演した時蔵の年齢。



Q(第13問 上級)「一谷嫩軍記」に出る制札の筆は誰?
                                …………平成25年11月27日出題

A (a)源義経
  (b)熊谷直実
  (c)武蔵坊弁慶
  (d)平清盛


【第13問の答え (c)武蔵坊弁慶】
 主君源義経から託された制札。ここに「一枝を伐(き)らば一指を剪(き)るべし」を書いた筆は弁慶の手。敦盛は院の落胤であり、その命を助けよ、という意味。熊谷直実、源義経も「一谷嫩軍記」に出る人物。


Q(第12問 上級)新古演劇十種に該当しないのはどれ?
                                …………平成25年10月7日出題

A (a)身替座禅
  (b)土蜘蛛
  (c)茨木
  (d)紅葉狩


【第12問の答え (d)紅葉狩】
 五世尾上菊五郎が撰定したのが土蜘蛛、茨木、戻橋、羽衣、一つ家、羅漢、刑部姫、古寺の猫、菊慈童。これに六世菊五郎が身替座禅を加え十種を制定した。市川宗家の歌舞伎十八番に対抗した。紅葉狩は歌舞伎十八番の一つ。


Q(第11問 初級)「紀尾井町!」とは誰への掛け声?
                                …………平成25年8月19日出題

A (a)尾上菊之助
  (b)市川海老蔵
  (c)尾上松緑
  (d)市川染五郎


【第11問の答え (c)尾上松緑】
 現四代目尾上松緑の屋号は音羽屋ですが祖父2代目松緑が東京・赤坂近く、弁慶橋の並びに長く住居を構えていました。そこで大向こうが親しみと紀尾井町の大旦那の意味を込めた掛け声で以来、当代まで続いています。

Q(第10問 上級)「貫目がある」とは何?
                                …………平成25年7月23日出題

A (a)洗練された演技
  (b)気品のある演技
  (c)性根が定まる
  (d)重厚な演技


【第10問の答え (d)重厚な演技】
 歌舞伎独特の通り言葉です。「広辞苑」では身に備わる威厳、貫禄と書いているが歌舞伎の場合、「貫目がある」というのは褒め言葉として使う時が通常。「富十郎の梶原には貫目がある」などと重厚な演技を表現する。


Q(第9問 初級)「心中天網島」の主人公男女は?
                                …………平成25年5月3日出題

A (a)おかる・勘平
  (b)夕霧・伊佐衛門
  (c)累(かさね)・与右衛門
  (d)小春・治兵衛

【第9問の答え (d)小春・治兵衛】
 近松門左衛門の最高傑作「心中天網島」は大阪天満の紙屋治兵衛と曽根崎新地の遊女小春の情死を描いた作品です。天の網は、天網恢恢疎にして漏らさずという中国古典の言葉から。初代中村鴈治郎の名演が有名です。


Q(第8問 初級)「鏡獅子」の主人公の名前は?
                                …………平成25年3月11日出題

A (a)花子
  (b)清姫
  (c)小町
  (d)弥生

【第8問の答え (d)弥生】
  千代田城大奥で正月恒例の鏡曳きの日、将軍の前で踊りが披露される。踊るのが女小姓・弥生です。九代目市川團十郎が「枕獅子」の稽古をする二人の娘を見てヒントを得、福地桜痴に作詞を依頼したとも言われます。


Q(第7問 中級)「傾城反魂香」の通称・ども又で又平夫婦が土佐将監の閑居に持参する手土産は?
                                …………平成25年1月6日出題

A (a)酒と鰻
  (b)お菓子と筆
  (c)酒と刺身
  (d)懐紙と鮎

【第7問の答え (a)酒と鰻】
  「急げば廻る瀬田鰻、その鰻で思い出した。只今膳所でもらいました練貫水の大津酒」と女房おとくの台詞にある。大津絵を描いて生計を立てる又平。大津市内にある膳所(ぜぜ)、市内の瀬田は鰻が名物。練貫水(ねりぬきみず)は市内大練寺に湧く清水で造った酒をいう。


Q(第6問 中級)「神霊矢口渡」の筆者・平賀源内のペンネームは?…………平成24年11月12日出題

A (a)福内鬼外
  (b)偉礼鬼照
  (c)源内平外
  (d)鬼内福外

【第6問の答え (a)福内鬼外】
  本草学者で蘭学者・平賀源内の筆名が福内鬼外(ふくうちきがい)。寒暖計の発明、洒落本の執筆など多才で知られ、浄瑠璃も多く書いています。その処女作が「神霊矢口渡」。江戸では珍しい浄瑠璃作者の先駆者です。

Q(第5問 初級)坂東玉三郎の屋号は?………………………………………………平成24年10月1日出題

A (a)松島屋
  (b)大和屋
  (c)喜の字屋
  (d)成駒屋

【第5問の答え (b)大和屋】
  大和屋を名乗る主な俳優には坂東三津五郎や坂東秀調、坂東彌十郎、坂東玉三郎がいます。喜の字屋は玉三郎の養父・14世守田勘弥の屋号。河内屋、京極屋、助高屋などは復活して欲しい屋号でしょう。


Q(第4問 上級)天明歌舞伎の代表的な役者は誰?

A (a)三代目尾上菊五郎
  (b)生島新五郎
  (c)初代中村仲蔵
  (d)七代目市川団十郎

【第4問の答え (c)初代中村仲蔵】
  立志伝中の役者が初代中村仲蔵。明和・天明期に活躍した。明和3年(1766)に「仮名手本忠臣蔵」5段目、山崎街道の場の斧定九郎を新演出。天明4年(1784)・至上上吉、同8年至極上上吉。森田座座頭。


Q(第3問 中級)「天衣紛上野初花」で河内山宗俊がバカにした食べ物は?

A (a)あさりの味噌汁
  (b)鯵の干物
  (c)納豆
  (d)ひじきに油揚

【第3問の答え (d)ひじきに油揚げ】
  お数奇屋坊主の宗俊が上州屋店先の場で質屋の連中に「みんなひじきと油揚げを旨がって」などと悪態を吐く。江戸城に勤める茶坊主のお数奇屋坊主だから、毎日旨い物を食べていて知恵が沸くと、町人を馬鹿にした台詞。


Q(第2問 初級)「彦山権現暫助剣」(毛谷村)の六助りモデルとされるのは?

A (a)曽我十郎
  (b)市川團十郎
  (c)花川戸助六
  (d)宮本武蔵

【第2問の答え (d)宮本武蔵】
  「彦山権現誓助剣」九段目・毛谷村で武芸に秀でた女武道のお園が有名ですが、主人公六助は剣豪宮本武蔵、敵・京極内匠は佐々木小次郎がモデルと言われます。真偽は不明ですが木田孫兵衛と名乗った伝説の剣豪とも。


Q(第1問 初級)「雪暮夜入谷畦道」で片岡直次郎が食べるソバは?

A (a)天ぷらソバ
  (b)かけソバ
  (c)もりソバ
  (d)あられソバ

【第1問の答え (b)かけソバ】
  直侍が入谷の二八そば屋で注文するのは「天」。天ぷらそばだが、店の主人が「天はヤマ(売り切れ)
 になりました」と言い、直侍は「なけりゃ、ただのかけでいい」と言う。江戸幕府の物価統制で、そは一
 杯は16文だった。
 

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PROFILE

■大島幸久メモ

 東京生まれ、団塊の世代。ジャイアンツ情報満載のスポーツ新聞(スポーツ報知)で演劇を長く取材。演劇ジャーナリストに生まれ変わったばかり。現代演劇、新劇、宝塚歌劇、ミュージカル、歌舞伎、日本舞踊。何でも見ます。著書には「新・東海道五十三次」「それでも俳優になりたい」。鶴屋南北戯曲賞、芸術祭などの選考委員を歴任。毎日が劇場通い。

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